VOL.9【NAHA FRONTIERページ】
MRO Japan株式会社

沖縄の空から世界の空へ! 新たなビジネスに挑戦!

 日本代表する航空機整備専門会社として、世界のMRO事業へチャレンジを続ける MRO Japan 株式会社の設立や取り組み等について、お話を伺いました。

取締役兼事業推進部 部長 平良 英人さん


■ MRO Japan設立

 MRO(maintenace,repair,overhaul)産業とは、航空機の整備・修理に関わる諸産業のことを言います。 MRO Japanは、全日空グループ機の整備を目的に、大阪伊丹空港内に1970年に設立された全日空整備(株)が前身で、そこから約半世紀にわたり培ったナレッジ(知識・経験・ノウハウなど)を武器に、コストセンターからプロフィットセンターとして、ワールドワイド事業でありますMROビジネスへのチャレンジするため、2015年に大阪伊丹空港内に設立されました。


■ 伊丹空港から那覇空港へ移転

 成長を続けるアジア経済の発展に伴い、LCCも含めて沖縄とアジア各地との航空路線が拡大していることや、国産ジェットの就航等により、航空機整備需要が拡大しています。
 一般財団法人日本航空機開発協会の需要予測によりますと、今後20年間の世界の経済成長は、GDPベースで年平均2.8%の伸びを示しています。
また、航空旅客需要は、有償旅客キロメートル(RPK)ベースで、2019年の8兆2,600憶人キロメートルから2038年には19兆4,000億人キロメートルと2.3倍になり、その間の年平均伸び率は4.4%であります。その中で、アジア太平洋地域は年平均5.3%の伸びを示しています。
 このような需要を背景に、沖縄県が進めるアジア経済戦略構想の重点戦略「航空関連産業クラスターの形成」が示され、東アジアの中心に位置する那覇空港の地理的優位性を活かしながら、旺盛な航空機整備需要を取り込むことにより、世界に羽ばたく航空機整備専門会社として、沖縄の振興及び経済発展に貢献する企業を目指し、2019年1月から那覇空港内のMRO施設において事業を開始しています。
(※一般財団法人 日本航空機開発協会「民間航空機に関する市場予測2019-2038」2019年5月より抜粋)


■ 沖縄、那覇の優位性

 沖縄、那覇は、東アジアの中心に位置し、地理的優位性が大きな魅力でありアドバンテージであり、旺盛な航空需要による顧客獲得のチャンスを秘めています。
 自動車であれば点検・メンテナンスや車検が必要なように、航空機においても1、2年ごとに定期点検が必要になります。その際には当然飛行機を輸送してこなければなりませんが、航空機の空輸にかかる距離が長いと時間やコストも当然かかってきますし、このようにメンテナンスに伴う部品等も輸送に時間やコストもかかります。
 那覇空港が東アジアの中心にあるということは、その分距離が短くなり、部品や航空機を輸送する時間とコストを最小化できます。もし、那覇空港に乗り入れているエアラインであれば、上手くやれば空輸ではなく、営業便でそのまま飛行機を入れ替えることが出来、空輸をコストゼロまで下げることが可能と考えられます。
 また、沖縄、那覇の優位性としては人口の自然増加率に加えて、若年層の割合の高さでいいますと日本でも上位に位置していることからも、豊富な若年労働者数は魅力です。
その他、那覇には沖縄振興特別措置法に基づく特区をはじめ、地域税制度が充実しているところも魅力であります。


■ 秘める成長可能性

 那覇空港周辺の国際物流拠点産業集積地域、那覇市には情報通信関連産業(IT産業)に関する企業の誘致も進み、これらの企業との最新技術を活用したビジネスコラボレーションを推進することによって、航空機部品の物流が盛んになり、周辺に航空機部品に関する専門部品センターなどができると、物流にかかる時間や労力などのコストも抑えることが出来ると考えています。
 また、すでに取り組んでいるものとして、IT企業とBPR・BPOを結び、スタート段階ではありますが色々なサポートをいただくことも進めています。
 これらの連携を積極的に行うことで生産性の改善につながり、最新技術を取り入れることによる生産性の向上が期待されています。
 さらに、来年2020年には那覇空港第二滑走路の完成が間近となってきました。那覇空港への離発着数も増加が見込まれており、今後さらに需要の増加が見込まれており、顧客獲得を強化することでビジネス拡大による大きな成長可能性を秘めています。
 そして、航空機需要の増加により、MROの航空機整備を中心として周辺には部品メーカー、装備品、製造・化工メーカーなど関連する産業が群をなして立地によるクラスターの形成が最大の成長可能性を秘めるゆえんであります。


■ MRO Japanの強み

 約半世紀にわたりANAグループ、ANAパートナーの機体の整備で培ったナレッジが、その中でも小型機の重整備や機体の塗装、ポケットモンスターなどの特別塗装機を手掛けてきました。国内では特別塗装が出来る唯一の会社で、その機体塗装能力はケイパビリティであり、弊社の強みであります。
 それから、国内に加えてアジアをはじめとする海外のエアラインをマーケットに考えており、特にアジアにはMRO先進国が数多く存在しており、競争が激しい状況になっています。
 そのような中において、日本品質、Japan Qualityを武器にアジア航空整備業界の中でチャレンジをしていきたいと思っています。
 今まで培ってきたナレッジをさらに強くして伸ばす取り組みが弊社の強みであります。また、課題などを常に改善しながら、アジアの強豪MROと対峙していくうえでは、やはり規模が少ないとコストに影響を及ぼすので、人員規模・事業規模というのは継続して拡大をしていこうと思っています。
 そして、先ほども少しお話しましたBPRやBPOの導入による生産性の向上を図りながら、県内の若手人材を積極的に採用し、航空関連の将来整備士になれる人材育成を計画的に進めるとともに、平成27年度より国立沖縄工業高等専門学校に設置された「航空技術者プログラム」との連携も大きな強みであります。


■ 人材育成

 MRO Japanが求める人材は、飛行機が好きで、整備に興味がある方であればどなたでも大丈夫です。
 入社後は約3ヵ月間かけて基礎訓練を実施したあとも、配属部署においては先輩や上司が丁寧にフォローをしながら、1人前の整備士になるために育成していきたいと考えています。
 そして、入社後8年から10年目を目安として、国家上位資格である一等航空整備士の資格取得を全面的に支援しています。このように、入社後も若い整備士を高度人材にするための育成プログラムも進めています。
 その他、整備業務は比較的簡単な英文の手順書が多いので、英語に抵抗感を持っていない方が来てくれると嬉しいです。
 弊社は、航空機整備に加えて英語も学べる優れた環境のなかで、沖縄の若い人材を育てていきたいと考えています。


■ 雇用促進や環境

 弊社は、男女も制限なく採用しています。女性で整備士を目指す方も大歓迎です。また、来年度からは、ハローワークとも連携しながら障がいのある方の採用も計画しています。
 スタッフが働きやすい職場となるため、環境の整備やワークライフバランスの実現を強く意識しています。また、離職を防止するため、職場環境を分析しながら、福利厚生制度を含めた様々な制度の充実を図っていきます。
整備場においては、今年1月の本格稼働からはじめての夏場を迎えていますが、暑さ対策には万全を期して取り組んでいるところです。


■ 地域貢献

 稼働間もなく、沖縄、那覇の分からないことも多いですが、地域貢献は弊社の大きな柱でもありますので、雇用の創出に加えて、これから市内小中学校への出前講座や、企業見学受入れ、仕事体験などに加えて、地域イベントの参加など、会社をあげて地域社会の発展に貢献していきたいと考えています。



 MRO Japan株式会社

 ★WEBサイト http://www.mrojpn.co.jp/